三点比較臭袋法による臭気濃度 (閾希釈倍数) の測定法は広く普及しつつあるが, この方法では排出口と環境とで算出方法が異なり, それらの臭気濃度の系統的意味が異なる.本文では, この方法における偶然の正解による影響について検討し, より高い信頼性をもった臭気濃度の算出手順を示した.すなわち, パネル数を増しても, 偶然による正解の確率p=1/3のために, 算出臭気濃度の精度はさほど向上しない.しかし, 各希釈段階における判定回数を増加すると確率pが小さくなるから臭気濃度の95%信頼区間の幅が狭くなる.そこで, 同一希釈倍数について2~3回の判定をさせ, そのいずれについても適中したものを正解として扱うことおよび環境と排出口に同じ方法を用いることが必要である.
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