排水処理系汚泥コンポストの需要拡大においては, 重金属や病原微生物汚染に対する安全性の確保が大きな問題となっている.今回, 大阪府内の8ヶ所のし尿処理施設の脱水汚泥に対し, 成分及び性状について分析を行った.また, 通常の環境下では不活化されにくい
Cryptosporidium parvuを指標生物として安全性確保のための実験を行った.その結果, し尿処理系汚泥については水銀濃度が高い傾向にあり, 低減化策としては汚泥滞留時間を短くするか, 副資材の添加による希釈が現実的であると思われた.
Cryptosporidium parvumについては, 今調査では検出することはできなかったが, 常時汚染されてもおかしくない状況にあり, コンポスト処理において発酵温度を最低60℃以上に保つ必要があることが判明した.今後, 排水処理系汚泥コンポストの需要量を拡大するためには, コンポスト製品の安全性の確保が不可欠になるものと考えられる.
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