瀬野川支流熊野川における河川工事は天然のヨシ原の破壊と土砂の除去等を伴い, さらに, 川の通常の生態系や, 生物相と水質の均衡を損なった.本研究では, 河川工事における底生動物と水質の変動を調査した.生物相の損傷の度合いは, 生物学的指標のppおよびPiで計測され, 一次工事, 二次工事後, 一時的に悪化することを示した.しかし, これらの指標は, 緩やかに約6ヵ月でほぼ工事前の状態に回復した.また, Biおよび種数は, やや時間的遅れはあるが, ppやPiと比較して同じような傾向を示した.化学的酸素要求量 (COD) や全無機窒素およびリン酸イオンの変動も, おおまかには生物学的指標と一致し, 約6ヵ月で回復する傾向を認めた.
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