大気汚染規制法に用いられている臭気測定法は, ストックホルムシンポジウムで大気の質の点から, もっとも, 重要であると確認された4つの次元のうちのただ一つの側面しか測定していないことが問題である.我々は, 汚染軽減のための臭気測定は“閾値”に加えて, 臭気知覚の強度と質の評価をも含まねばならないと考える.これらの次元は, 質と強度の両者について適当な対照基準を用い, 人間とその鼻で機器の目盛を校正すれば, 効果的に測定できる.これら3つの次元についての情報から, 臭気の受容性は3つの次元 (知覚, 強度, それに質) を考慮したうえで推定できる.
また, これら3つの次元は臭気の受容性, もしくは不快性と関連づけられるべきで, それには民衆の意識調査を用いるべきである.現行の悪臭規制法はきわめて様々で, ほとんど満足すべきものがない.本文では議論の刺激を目的としているから現行法自体の議論は, さして重要でなく, もっとも重要な事は, 大気汚染の見地から臭気はいかに測定されるべきかということである.
現行の法令が基礎をおく感覚評価法は適切な情報の供給に成功しておらず, 効果的な悪臭規制法のための基礎の確立が必要である.不幸にも, 全米レベルでの悪臭公害の研究は遅れており, 個々の州や地方自治体当局はストックホルムおよびケンブリッジ・シンポジウムで確認された悪臭汚染測定の問題点を究明するために必要な財源をもたない.
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