近年, 廃棄物埋立跡地の利用が注目されているが, 建設工事に伴う開掘により発散するメタンガスによる危険や, 硫化水素などの悪臭ガスの発散などの問題が指摘され, 工事に先立っゴミ層内のガス抜き方法が問題となっている.本文では, ゴミ層内に存在するガスを, ボーリング孔から抜き出すためのガス抜きモデルについて検討した.その結果, ゴミ層および覆土層内における中心孔から半径方向へのガス流速の分布は, ガス抜き孔からの吸引量, 覆土層とゴミ層の厚さ, および覆土層とゴミ層の通気係数の比から求めることができると推定された.
ついで, このモデルを用いて, ゴミ層内のガス濃度の経時変化について検討し, 覆土の厚さを厚くするか, 覆土の通気係数が小さい場合には, ゴミ層内のガスの引き抜きが効率よく行われ, 中心孔での吸引ポンプの容量が大きいほど, ガスの引き抜き速度が大となる.また, 中心孔の回りに掘る外円溝を大きくすると, ゴミ層のガスの引き抜きがより効率よく行われるが, 溝の半径を2倍にすると, 引き抜かねばならない総ガス量が4倍になることから, ガスの引き抜きに必要な時間が長くなると考えられた.
抄録全体を表示