水道水や下水二次処理水に各種の鉄およびアルミニウム塩を加え, 加水分解によって生成させた低濃度 (5~30ppm) の水酸化物懸濁水に室温で光を照射すると, 沈殿の沈降分離が促進された.この現象の内容を研究した結果, 400nm以下の波長の紫外線が主として沈降誘導期間の長さを短縮する役割を果していることがわかった.誘導期間の逆数で表わした誘導期反応の速度は第二鉄塩>アルミニウム塩>第一鉄塩の順序に大きく, 金属イオンの濃度に比例し, 光源から照射水面までの距離の2乗に反比例した.これらの塩を蒸留水に溶かして生ぜしめた懸濁水に光を照射しても沈降は促進されなかった.蒸留水に各種, 亜硝酸, ケイ酸, リン酸, 有機酸などのナトリウム塩を微量 (0.1~1ppm) 添加すると誘導期間は著しく短縮された.懸濁水のUVスペクトルには, 500nm以下の波長の光の吸収が観測され, 360nmにおける吸光度の増大とともに誘導期速度は著しく増大し, 沈降速度も少し増大した.
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