水中のクロロホルムをフローインジェクション法により定量する方法について検討した.本法は以下の2つの反応に基づいている.
(1) Reimer-Tiemann反応, これはフェノールがアルカリ溶液中でクロロホルムと反応してサリチルアルデヒドを生成する反応として知られている.
(2) サリチルアルデヒドとエチレンジアミンより形成されるシッフ塩基とベリリウムから成る錯体の生成
5%のフェノールと4%の水酸化ナトリウムを含むキャリアー流は0.58ml/minの流速で送液され, これに125μlの試料溶液を注入する.これより, 加熱コイル (5m, 85℃) 中でサリチルアルデヒドが生成し, これは0.35ml/minの流速で送液される試薬流中のエチレンジァミン及びベリリウムと冷却コイル (2m, ℃) において反応し, ベリリウムーシップ塩基錯体を生成する.340nmで励起したこの錯体の蛍光強度を440nmで測定する.検量線の直線性は良好で, 5mg/lのクロロホルムの5回の繰り返し注入における相対標準偏差は0.80%であった.本法によって1時間当たり15試料の分析が可能である.本法は感度の点で飲料水中のクロロホルムの定量には適用できないが, ppmレベルのクロロホルムを含む試料のモニタリングには有用と考えられる.
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