都市廃棄物による埋立跡地の利用が各地で計画されているが, 地下に20~30年間も埋められている廃棄物は嫌気分解によってほぼ無機化, 安定化しているとみられる.しかし, 嫌気分解で生成した大量のメタン, 硫化水素やアミンなどの悪臭ガスが地下の廃棄物層内に封じ込められており, これらは埋立地の開掘時に気中に放散されて, 引火, 爆発を起したり, 不快な臭気で周辺地区に重大な影響を与えることがしばしばみられる.このようなことから, 埋立地の開発においては事前に地中に封入されているガスの引抜きが必須となっている.このガスの引抜き工事には地中の廃棄物層内のガス透気係数の把握が必要となるが, これについての調査, 研究の例はほとんどみられない.
そこで, 本研究では, 地下の廃棄物層内のガス透気係数を予測するための基礎資料として, 粒径の異なる砂を用いたカラム実験を行い, 砂粒径と砂層中の水分量によるガス透気係数の関係を実験的に検討した.その結果にもとづいて, 廃棄物層の水分含量と平均粒径からガス透気係数の予測式を導くことができた.しかし, ここで導いた予測式の係数K
3-.およびBについては今後の問題として残されたが, 前者は地下の廃棄物層の動粘性係数および形態に, また後者は廃棄物層内に存在する水の挙動に関係するものと考えられた.
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