近年, 非イオン界面活性剤の原料であるノニルフェノール (NP) は日本において内分泌攪乱化学物質の一つとして認定された.この研究では, 下水処理場におけるノニルフェノールエトキシレート (NPEO
n) 代謝生成物の変化と自然水中への放出を検討するため, 1つの下水処理場において流入水, 活性汚泥処理水, 放流水と返送汚泥中のNPとNPEO
nをGC/MSとLC/MSを用いて測定した.その結果, 流入水から放流水にかけてNPに関して96%の減少, NPEO
2-9に関して85%以上の減少が見られた.また下水処理場放流水中のNPEO
2-3はNPEO
n全体の80%を占めていた.NP, NPEO
1ともに自然水中への放出は低い値であった.しかしながら, 活性汚泥処理槽においてNP, NPEO
1の増加が見られたことから, 活性汚泥処理槽のみを持つ下水処理場においてもNPEO
nからNPの生成の可能性が考えられる.
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