ダイオキシン類の発生抑止と高効率熱回収を目的とし, 処理能力2t/dayの小規模産業廃棄物熱処理システムを開発した.本システムの特徴は, ダイオキシン類の再合成に触媒作用する金属類を高温集じんし, 再合成温度領域でダイオキシン類の再合成を抑止することである.さらに, 熱交換器で高効率熱回収を試みた.開発システムの研究にはカーシュレッダーダストを用いた.約75kg/hのダストを還元状態で熱分解した後, 溶融処理することで, 約90%のスラグ化率が得られた.また, 約700℃の排ガスをセラミックハニカムフィルターで高温集じんすることで, 熱交換器出口でのダイオキシン類濃度を1.1ng-TEQ/m
3Nに抑えることができた.さらに, 高温集じんによる飛灰の集じん率は約98%であった.特に, 触媒重金属類の除去率が高かった.熱交換器による熱回収率は約70%であった.以上の結果から本開発システムは小規模産業廃棄物の焼却処理に多く利用されることが期待できる.
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