超音波ドップラー流速計を用いて,浄化槽一次処理槽における堆積汚泥界面上の流速を測定し,汚泥巻き上げとの関係を検討した.流入水量が多く堆積汚泥高さが高いほど,巻き上げ回数が増加し,そのレベルも高くなった.同時に,汚泥界面上の平均流速が速くなったことから,流速が巻き上げに影響すると考えられた.また,堆積汚泥が圧密されているほど,巻き上げが抑制されることが分かった.堆積汚泥濃度10,000mg/Lの条件では,汚泥界面上の平均流速が1.5cm/秒以上で,流出の危険性が高い巻き上げが生起した.さらに,流速の時系列データを2.5~5.0秒間の移動平均で表すことで,流速のピークと巻き上げが一致し,ピーク流速が速いほど高レベルの巻き上げが多く生起した.ゆえに,巻き上げを抑制し,汚泥貯留性能を向上させるためには,汚泥界面上の平均流速を減少させると共に,ピーク流速を低減する必要があるといえる.
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