下水道事業における不明水対策では,従来,流量調査などにより概略の実態把握を行い,その後,テレビカメラ調査などの詳細な調査により発生原因や箇所を特定し,B/C などの評価を行った後に,対策実施の判断が行われることが多い.しかし,誤接合や管の接続不良など,不明水の発生原因は多岐にわたり,原因の特定には時間がかかること,多額の調査費を要することなどの理由から,対策が進まないケースも少なくない.そこで,著者らは,不明水対策に貢献する調査技術として,不明水が浸入した際の管路内下水温の変化に着目し,マンホール内で自動測定した水温データに基づき対象区域内の不明水の有無およびその原因を推定できる調査手法の実用化研究に取り組んだ.