航空機騒音を計算するには、米国連邦航空局のINM (Integrated Noise Model) が一般的である.このモデルも改良が重ねられてはいるものの, 基礎となるデータベースやモデルの設定が, 実際の航空機騒音や運行状況と一致しない点もある.そこで, 新しい航空機騒音予測分散モデルの開発をおこなった.これは, 地上での測定から得られる航空機の通過位置, および騒音レベルをもとに, フライトトラック (飛行コースを地上に投影したもの) , 高度, パワーレベルを求める; これらの要素にはばらつきがあり, それをシミュレートすることによって, 地上での航空機騒音を計算するものである.そこで, あらかじめ各要素のばらつきを検討した.その結果, 離着陸する航空機のフライトトラック, 高度, パワーレベルは, 機種ごとに正規分布することが明らかになった.そこで, 各要素を実測値にもとついた標準偏差をもっ正規乱数で表現し, シミュレーションをおこない, 上記の三要素の組合せによる航空機騒音計算システムを構築した.そして実際に, 大阪国際空港周辺におけるWECPNLを予測し, 実測値と比較した結果, 高い精度の予測モデルであることが確認できた.
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