本研究の結果, 回転円板法は炭抗廃水中の第一鉄酸化が可能であり, 鉱山廃水処理装置として有益であることが明確になった。すなわち, (1) 第一鉄16~313mg/
lを含む鉱山廃水の回転円板処理では円板周辺速度34fpm (10m/min) よりも63fpm (19m/min) が効果的 (第一鉄90%以上酸化可能) である. (2) 原水濃度に関係なく回転円板法第一鉄酸化過程は全水量負荷, 全回転速度とも一次反応である. (3) 本法は細菌のシーディング, 栄養源の添加や温度調整なしで第一鉄酸化が可能であり, さらに維持管理もほとんど必要としない. (4) 生物化学的第一鉄酸化は化学的処理法に必要な高pH値にすることなく鉱山原廃水のままで, しかも短かい接触時間で達成できる. (5) 500, 000gpd (1, 890m
3/day) のProctor No.2炭抗廃水回転円板法で生物化学的鉄酸化する設備費と運転費はそれぞれ, 0.08ドルと0.04ドル/1, 000gallon (0.02と0.01ドル/m
3) である. (6) 現在の化学的曝気プロセスとは異なり, 回転円板法は薬品などを添加せず, 鉱山原廃水のままで処理可能であり, 栄養基質添加や固液分離プロセスを必要としないため費用が安い.
回転円板法鉱山廃水処理の今後の研究課題として次のことがあげられる. (1) 特に深抗鉱山から流出する極高濃度第一鉄の処理装置での動的性質. (2) 回転円板法運転での鉱山廃水温度, 種々のpH変動の効果. (3) 微生物増殖に伴なう新細胞生成に対し流入水から細菌吸着の相対重要度を決定するための円板上鉄酸化細菌の形態. (4) 回転円板法による全処理装置の最適条件, 経済性の決定, そして環境汚染防止のための最終放流水の中和化処理.
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