液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法(LC/MS/MS)による水道水中のアニリン・キノリン同時分析法の検討を行った.
検討の結果,アニリン標準液の検量線は1.0~20 μg/L の濃度範囲で,キノリン標準液の検量線は0.01~0.20 μg/L の濃度範囲で,良好な直線性と良好な妥当性評価結果が得られた.また,1.0 μg/L アニリン標準液の併行精度は0.82%,0.01 μg/L キノリン標準液の併行精度は2.7%であり,良好な結果であった.さらに,水道水及び水道原水への添加回収試験(n=5,5日間)を実施し妥当性を評価した結果,併行精度4.3%~5.6%,室内精度4.8%~12%,真度98.8%~107%であり,アニリン及びキノリン共に良好な妥当性評価結果が得られた.
本分析法は,液液抽出や固相カラム抽出などの前処理工程を省略し,直接,試料をLC/MS/MS 装置に導入することができ,迅速かつ簡易にアニリン及びキノリンの定量分析が可能な分析法である.
公開データを活用し,国の補助事業によるCO2削減量が,地球温暖化対策を目的とする全事業に対してどの程度貢献しているのか,補助事業のCO2削減予想が国のCO2削減目標に対してどのような位置付けにあるのか,概略評価を行った.また,CO2削減単価からCO2削減量を算定し,短期・中期的なCO2削減予想と評価を行った.その結果,代表的な補助事業の費用対効果は,全事業の2倍近く,補助事業の位置付けは妥当であることが分かった.
本研究では,ヒ素の不溶化効果を有するカルシウム塩や鉄塩を含むセメント系の不溶化剤を調製し,中国地方で発生した自然由来汚染土壌のヒ素溶出抑制に適用した.不溶化剤と土壌を混合することでヒ素溶出に対する抑制効果が認められたが,一方で不溶化剤の希釈に用いたセメントの添加量が少量であるとヒ酸イオンの溶出が増加する場合があった.最適な添加量のもとでセメント,不溶化剤と土壌を混合し,少なくとも1時間の養生を行うことで,土壌のヒ素溶出量は基準値以下となった.