化学物質の分解性を化学構造から予測するために, 水中での化学物質の分解, 特に加水分解を考えることにし, カルバメート類の加水分解性を予測する研究を行った.カルバメート類は構造式R
1O-C (=O) -NR
2R
3で表される化合物群であり, 加水分解速度の実験データが存在する化合物も置換基R
1, R
2, R
3の種々の組合せとなっている.そこで, 実験データの解析の手法として, 置換基R
1, R
2, R
3, の置換基パラメータを用いて実験データを重相関回帰分析で解析することにした.置換基パラメータとしては電子的パラメータσ
Iを用いて解析を行うことにした.σ
Iのない置換基については, 半経験的分子軌道法計算AM1を行い, 電子密度とσ
Iとの相関関係を求あて, その関係式から推定することにした.以上のような方法で解析を行った結果, 12桁以上の大幅な違いがあるカルバメート類の加水分解速度の実験データが平均予測誤差2桁程度で予測できることが分かった.
抄録全体を表示