2007年5月8日から9日にかけて, 西日本を中心に発生した光化学オキシダントの広域的な高濃度は, 東アジア規模の広域移流が寄与していると考えられている.大阪府でも, 5月9日, 南部の地域に高濃度が発生した.このうち最南部の泉南地域 (低NO
X地域) では, 9日の午後から10日の未明にかけて高濃度が持続する現象が起こった.これは, 西日本の多くの局に共通して起こっており, 同じ広域移流の影響が推測される.また, 高NO
X局においては, 昼間に高濃度を示すが, 夜間には濃度が低下している.これらの局について, ポテンシャルオゾンの経時変化を見ると, 泉南地域と同じパターンを示した.このことから, この大阪府でのオキシダント高濃度イベントは, 東アジア規模の広域移流の影響を受けたものであると判断できる.これは, 後方流跡線解析の結果とよく合致する.また, 高NO
X地域については, 移流によるオキシダントが, 夜間にO
3-NO反応によりO
3が消失し, 見かけ上濃度が低下したものと判断できる.
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