従来, 会計学の研究領域において, 投資家以外のステークホルダーが, 企業の情報開示の情報利用者として明示的に取り上げられて考察されることは, あまりなかった.しかし, 最近では, 企業の経済的側面だけでなく社会的側面や環境的側面に関する情報を企業が自発的に開示する動きが広がっていることを受けて, 投資家以外のステークホルダーに対する関心が, 会計学の研究領域においても高まっている.そこで, 本稿では, 経営学の研究領域におけるステークホルダー研究を援用して, ステークホルダー概念とその類型化のアプローチについて検討することを試みている.そして, ステークホルダーの類型化が, 類型化された各グループの情報ニーズに応じて, 企業の情報開示において開示される情報内容を改善することに資することを指摘し, 今後の課題として, ステークホルダー研究の研究成果を会計学の研究領域に積極的に援用することの必要性を主張している.
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