悪臭の規制は, 現行の悪臭防止法に規定されている8種の悪臭物質にたいする個別濃度規制に代って, 感覚測定の結果にもとずいた方式に改めなければならないことが広く認識されており, 三点比較臭袋法が多くの地方自治体で利用されている.しかしながら, この方法にも, 測定方法やデータ処理において未解決の問題が残されており, これが, 現行法に代って悪臭防止法における正規の悪臭測定法として採用されるための大きな障害となっている.
著者らは, この問題について検討し, 環境測定の方法についての検討結果を前報で述べた.本文では, 排出口の方法について検討し, 以下の結果を得た.
1) 現行の三点比較法では, 遇然の適中により, 測定結果が大きく変動することから, パネルの2回適中または3回適中で, 1ケの正解とすることにより, 遇然の適中が起こる確率を小さくすることが必要である.
2) 現在の3倍系列の希釈倍数による測定は実用上から, ほぼ妥当であると考えられた.
3) パネルの人数は, 現在の6名では精度が悪く, 臭気の質から6~10人とする必要がある.
4) 臭気濃度については, 信頼区間を設定し, これにもとずいた評価方法について検討することが必要である.
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