Coprothermobacter属細菌の嫌気性消化槽における役割を知るために,新たに同属細菌を牛フン嫌気性消化槽から単離・同定し,その諸性質を既報の同属細菌と比較検討した.新規単離菌IT3株は同種のBT
T株と比較して,高温域での性質に違いがみられた.60℃ではIT3株は独立した細胞の凝集体であるが,BT
T株はやや短いフィラメント状となった.70℃でのμmax(hr
-1)はIT3株では0.273に対し,BT
T株では0.217と低かった.水素生産は同等であったがペプチダーゼ活性は4倍高かった.
Coprothermobacter属細菌,特に
C.proteolyticusは,バイオマス系廃棄物に含まれる広い範囲の天然物から水素や炭酸ガスを生成し,メタン発酵の前段階としてあるいは水素発酵のための細菌として重要な役割を担っていることが分かった.
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