航空機騒音による機種識別を, ニューラルネットワークを用いておこなった.本研究で使用したネットワークは, 協調学習型モデルを応用したもので, 三つの独立した下位ネットワークと, それらの結果を統合する上位ネットワークからなる.これを, 離陸側と着陸側でそれぞれ構成した.騒音データは, 航空機の前方ノイズと後方ノイズを高速フーリエ変換し, 周波数バンドレベルを求めた.これらのデータを前方, 後方ノイズごとに同期加算し, さらに航空機騒音の特徴を強調するために, 正規化もおこなった.このデータをネットワークに与えて, バックプロパゲーション法によって学習させた.そこへ識別用データを与えた結果, 全体の識別率は, 着陸側では94.5%, 離陸側では95.7%と, 判別分析法を用いた場合と同程度, あるいはそれ以上の識別率が得られた.また, データの正規化によって, 収束度および識別率が向上したことが確認できた.さらに, 協調学習型ネットワークを用いたことで, 各ネットワークごとの欠点を補いあって全体の識別率が上がった.
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