11種類の土壌を供試し土壌によるAsO
3-3およびAsO
3-4の吸着量について, 腐植, CECおよび遊離Alの各画分量との関係から調べた.さらに, 銭亀沢II層および活性炭を供試し, 添加As量と吸着量の関係を検討し次の結果を得た.
1) 各種土壌のAsO
3-3およびAsO
3-4吸着量と強熱減量, 有機炭素およびCECとの間にはいずれも有意な相関は認められなかった.一方, 遊離Alとの相関では, AsO
3-3は反応1日でD型および合量と各々有意であり, 反応7日では正で有意な遊離Alの画分は認められなかった.これに対し, AsO
3-4では反応1, 7日ともにC型, D型および合量の各画分と有意であった.したがって, 非晶質水酸化アルミニウムおよびアロフェンに起因するAl (C型, D型) がAsO
3-4の吸着能の上昇に対し大きな影響を及ぼすと考えられる.
2) 銭亀沢II層と活性炭によるAs吸着量と平衡濃度の対数値をプロットした場合, 反応1日ではAsO
3-3, AsO
3-4ともフロインドリッヒ式が適合した.一方, 反応7日では両対数値間の相関は低下し, とくに, 銭亀沢II層のAsO
3-3および活性炭のASO
3-4吸着では0.4ppb以下の範囲で吸着量の急激な低下が認められた.これは土壌および活性炭中のAsO
3-3, AsO
3-4が酸化および還元されてイオン形態が変化したことに起因すると推定される.
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