福井県にある広野ダム貯水池では, 平成4年5月下旬にウログレナを優先種とする淡水赤潮が初めて観察され, 下流側で行われるアユ漁への懸念から, 赤潮再発防止の緊急措置として平成5年4月下旬に石灰添加が実施された.その後の水質調査では赤潮が観察されず, 表層三地点平均のクロロフィル―aでみると平成4年には最高50μg/l近くに達していたのに対し, 平成5年には常に約20μg/l以下に抑えられた.石灰添加は, 実際のダム湖での適用においても底質問隙水中のリン酸濃度の減少に著しい効果があることがわかり, 植物プランクトン量の制御に有効であると考えられた, 平成5年6月以降では, 異常気象も影響して植物プランクトンの増殖がさらに抑えられたと思われる.ただし, 石灰添加後の表層水平均pHは一時的に9.6に達したため, 石灰添加においてはpHの上昇に留意し, 添加量等を検討する必要性も示唆された.
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