Gordonia sp.236株は, 種々のフタル酸エステルを唯一の炭素源として生育可能である.我々は, 固定化236株を使用し, フタル酸ジ-2-エチルヘキシル (DEHP) 及びフタル酸ジブチル (DBP) に対する分解能を検討した.菌体の固定化には螺旋状のプラスチック担体 (ABS樹脂製, 直径約18mm, 重量約250mg) を使用した.
236株はDEHP濃度5000μg/mlで培養した場合, 担体に素早く吸着した.その量は, 担体1g当たり乾燥重量で約150mgであった.固定化236株を用いた処理槽モデルでは, 試験1回目に250μg/mlのDEHPを48時間で88.3%, 試験12回目に1000μg/mlのDEHP及びDBPをそれぞれ48時間で91.7%及び100%分解した.また, 試験18回目には2000μg/mlのDEHP及びDBPをともに4時間で約95%分解した.
236株はpH5では生育しにくく, pH10では溶菌し生育できない.しかしながら固定化236株は, pH5でpH7の3.6倍のDEHP分解初速度を示し, pH10でもDEHPを分解した.
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