本研究はクロム鉱さいの湿式処理プロセスである, 難溶解性クロム酸塩の生成を利用した6価クロムの安定化プロセスを検討した.圧力8kgf/cm
2, 温度175℃の水蒸気で8時間処理すると廃鉱さい中のMgOはほぼ完全にMg (OH)
2に変換された.MgOの存在は鉱さいの容積膨潤問題を引き起こす.水蒸気処理した鉱さいは温度80℃で, 鉱さいと水の割合1: 2 (w: w) , 溶出時間20分間で処理し, 鉱さい中の6価クロムを溶出した.一回の溶出率は80%に達した.溶出した6価クロムはクロム・イェローとして単離し, 顔料の原料として再利用できた.6価クロムを溶出した後の鉱さいを濃度8%のBaCl
2溶液と混合させ, 鉱さいに残っている微量の6価クロムを難溶解性のBaCrO
4に変えた.処理後の鉱さいは建築材料として再利用することができた.
抄録全体を表示