多種類の有機溶剤を含む印刷工場排ガスを試料とし, 脱臭を兼ねて活性炭吸着による溶剤回収実験を, 毎分4m
3の規模で行った.その結果は次の通りであった.
1) 溶剤はメタン換算による全炭化水素濃度で, 入口200~2600ppmに対し, 出口は20±5ppmに低下し, 出口濃度に対する入口濃度の影響は少なかった.破過点附近でも90%以上除去出来る.
2) その結果, 臭気に関する苦情も近隣から無くなった.
3) 個々の溶剤について分析すると, 沸点が高く分子量の大きい溶剤は吸着され易く, 沸点が低く極性の大きい溶剤すなわち, 酢酸エチル, メチルエチルケトン, アセトンなどは吸着されにくい.破過点附近では, 一度吸着されたメチルエチルケトン, アセトン等も吸着力の強い他の溶剤に置換されて出てくるので, 出口ガスの主成分は, メチルエチルケトンやアセトンとなった。
4) 脱着は, 水蒸気による105℃加熱を60分間行えばほぼ十分で, このとき溶剤の有効吸着量は活性炭重量の9%で, 活性炭中の脱着残量は12%であった.
5) 火災防止に対しては, 低濃度溶剤ガスの吸着, 水蒸気による脱着操作は安全である.停止は必ず脱着してから行い, もし停止期間中に活性炭層が昇温すれば, 70°~80℃で自動的に活性炭に散水して冷却する.
本実験のデータにもとづき製作した実装置320Nm
3/minは, 設計値通りに運転されており, また凝縮水中の溶剤は, 蒸留塔により回収されるので, 排出水の汚染度も小さい.
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