神奈川県の2流域におけるクリプトスポリジウムおよびジアルジアによる汚染の調査を行った.相模川流域16地点, 酒匂川流域3地点を選定し, 水試料を平成10年8月, 12月, 11年8月, 12月および平成12年8月の計5回にわたり, 各10lずつ採取した.これらについて厚生省暫定指針の方法に従い, 試料をフィルターで加圧濾過後にフィルターを溶解させ, Percoll-ショ糖液を用いた遠心分離を行い, 回収物は25mm径メンブランフィルターでろ過した後に特異蛍光抗体で染色し, 顕微鏡観察を行ってオーシストおよびシストの検出を行った.19地点のうち12地点よりクリプトスポリジウムが, 17地点よりジアルジアが検出された.この結果, 今回の調査対象となった河川において繰り返し原虫が検出される地点が存在し, 恒常的な汚染実態が明らかとなった.相模川の東側には畜産施設が多く分布し, 西側には住宅地が拓けており, 興味あることに, 前者ではクリプトスポリジウムが多く検出され, 後者ではジアルジアがより多く検出される傾向が認められた.
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