淀川水系の水道水, 河川水および下水処理場放流水について塩素処理の影響を中心に, バイオアッセイを用いて水質評価をおこなった.また, 塩素処理における臭化物イオンの影響を遺伝毒性について検討した.
XAD-2カラムもしくはSep-Pak Plus CSP 800を用いた濃縮法による試料を変異原性試験に用いた.変異原性は,
S.typhimurium TA100, TA98株を用いたAmes試験と, 新生チャイニーズハムスター肺細胞株 (CHL/IU) を用いた染色体異常試験によって調べた.
塩素処理した淀川水道原水と下水放流水の変異原性は, ―S9mix条件で, TA100, TA98のいずれにおいても変異原活性が高かった.高度浄水処理法 (オゾン・活性炭処理) と従来の処理法による水道水では, 変異原活性と染色体異常率ともに後者の水道水の方が, 高い変異原性を示した.CSP800による試料水の濃縮試料では, XAD-2による濃縮試料より約4~7倍程度の高い変異原活性値が得られた.ただ, いずれの濃縮試料についても, Ames試験での変異原特性はほぼ一致しており, 塩素処理水ではTA100, ―S9mixで顕著に高く, 下水放流水の非塩素処理水ではTA98, +S9mixで高い値を示した.次に, 同一の塩素処理条件において, 臭化物イオンを添加した濃縮試料では, 無添加の試料に比べ, 変異原性生成能と異常細胞数において顕著に高い変異原性を示した.
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