し尿消化脱離液の活性汚泥処理から生成する余剰活性汚泥の脱水処理について, 真空脱水テストの結果, 余剰活性汚泥単独では脱水不能であるが, 余剰活性汚泥を消化汚泥と混合して脱水することは可能である.その際, 余剰活性汚泥の混合率が10%程度であれば, 消化汚泥単独処理に比べて処理量で40%近い減少を示し, 凝集剤を添加しなくても脱水そのものは可能であるが, 消化汚泥と同量以上発生する余剰活性汚泥の10%のみ処理し得ても, 実用的な意味はなく, 真空脱水機による無薬注脱水は採用できないものと考える.また, 余剰活性汚泥を単独で処理するには, リーフテストの結果により塩化鉄6%, 消石灰18%を添加することにより, 処分にあたって農業利用が困難になる点を除けば, SS回収率も処理量も満足すべき値が得られることが認あられた.
また, 余剰活性汚泥の最終処分を, その性質を生かして肥料として利用できる方法を維持することも含めて遠心脱水機を用いて高分子凝集剤を添加して汚泥の脱水実験を実施した.実験は実用機を使用したものであるが固形物の回収率, ケーキ水分ともに良好な成績を示した.消化汚泥と余剰活性汚泥の混合割合により脱水効果に変動を生じ, 余剰活性汚泥の混合率が小さいほど脱水効果が高く, 混合率1: 1程度であれば凝集剤無添加でもSS回収率91%, ケーキ水分71%を示し, 消化汚泥と余剰活性汚泥の混合脱水が, 脱水効果あるいは肥料効果の面でも有利であることが明らかになった.さらに小松菜の発芽試験によって, 凝集剤の施用が, 無施用区と比較して顕著な差は認められず, 悪影響がないことも確かめられ, 脱水汚泥の農薬利用への可能性が明らかになった.
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