最近, 航空機騒音の測定を目的とした, 固定あるいは可搬型の騒音測定装置が方々で使用されているが, これは通常, あるレベル以上の騒音値 (ピークレベル) とその発生時刻を自動的 (無人) に記録するもので, 自動車のクラクションやサイレンの音なども記録される可能性がある.そこで, 航空機騒音のパターン認識の手法で, 機種を判別することができるならば, このような誤りを排除し, 航空機騒音の単なる記録データのみでなく, より有力な騒音資料として役立てることができるはずである.
本研究は, このような目的で, 航空機騒音から機種を判別する可能性を, 大阪国際空港の着陸側で論じたものである.まず, 大阪国際空港着陸コース周辺において測定した航空機の前方ノイズと後方ノイズを, それぞれにっいて高速フーリエ変換 (FFT) を行い, 周波数スペクトルデータを求め, それらのデータを判別分析法により機種判別を行った.その結果, 判別関数を作製するために用いたデータでは, 判別率98.2%とかなり良い判別率で判別され, さらに, 判別関数作成に用いなかった未知データを入力した場合でも86.5%と比較的高い判別率を得た.この結果は, 判別関数作成以外は全てパーソナルコンピュータにより計算処理されたもので, 簡単なシステムでも, 実行できるものと考えている.
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