本研究では,生ごみの水素発酵システムにおける微生物学的な安定化技術を確立するための基礎的知見を得ることを目的とした.
Clostridium属菌種単独による生ごみからの水素発酵における問題点について解析するとともに,系統群の異なる複数の菌種を混合することで生ごみからの水素発酵能の安定化を試みた.
Clostridium属菌種単独による生ごみからの水素発酵では,一時的な高い水素発酵能を示すものの,その安定性は低く,連続的な水素発酵を行うことは非常に困難であることが示された.
C.beijierinckiiと
E.aerogenesおよび
C.maltosaを用いた複合微生物系により,実生ごみから安定して連続的に水素発酵を行うことが可能であった.この時の平均水素収率は2.0 mol H
2/ mol hexoseであり,5.1mmol H
2/ g dry-garbageの効率で生ごみから水素を安定的に生産できることが示された.本複合微生物系を用いることにより,実生ごみの水素発酵システムにおける安定化技術に寄与できる可能性が考えられた.
抄録全体を表示