降水利用を促進するには, 全国各地の降水に適用可能な共通イオン移動度の設定とこれを用い, 降水の総イオンならびに含有イオンの濃度を簡便で高精度に推算する方法の確立が必要である.
このために, 環境庁・第一次酸性雨調査等61ケースの降水資料をもとに, 降水の電導度に及ぼすイオン種, 濃度の影響, 共通イオン移動度の設定ならび電導度, pH測定値よりイオン当量濃度を推算する方法等を検討し, 以下の諸点を明らかにした.
(1) 降水の電導度には [H
+] が大きく影響するが, 降水pHをpH=5.7に標準化することにより, その影響を消去できる.
(2) その結果, 共通イオン移動度は, 6.2×10
-4 (cm
2/V・s) である.
(3) この値を用い, 降水中の総イオン当量濃度は電導度, pH測定値より高い精度で推算でき, その値に応じて降水を適切な用途に利用できる.
(4) 含有各イオンの当量濃度と強い相関性を示す影響因子を検討し, 総イオン当量推算濃度をもとにそれらを推算できる.
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