船舶排ガス中のSOx浄化用湿式スクラバの性能向上に対し,電気分解(電解)による海水のpH上昇とアルカリ度増加を目的として,海水成分の影響を検討した.水槽に8LのNaCl(3.5%)水溶液,実海水又は模擬海水を入れ電解し,pH,アルカリ度,導電率を計測した.電極は陽極,陰極ともカーボンとした.模擬海水の成分は任意に調整した.実験の結果,海水の電解では,アルカリ度は上昇するが,pH は上昇しないことが示された.これは,陰極で生成され続けるOH
-が海水中でHCO
3-と反応しCO
32-を生成することやMg(OH)
2などを生成するためと考えられる.また,OH
-とHCO
3-から生成されたCO
32-は,酸を消費する物質であるため,電解によるアルカリ度の上昇量はいずれの水溶液でも同等であることが示された.
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