本報では, 廃棄物の再資源化を市場機構内で行なう場合の経済的阻害要因について考察する.
一般的には再資源化の阻害要因としては, 技術的要因と経済的要因の2つの側面が考えられるが, 主要には, 現在の産業が新原料中心の経済構造であり, 再資源を使用するのに慣れていない等のため, 本質的には技術的な要因よりも経済的なもの, 特に社会制度にあると云える.
再資源化事業が経済的に成り立つには, 再資源化製品の売却から収益が安定して得られることである.けれども市場機構内の経済活動の阻害要因は, 必ずしも再資源化製品のコスト問題とはかぎらず, むしろ市場価格の背景に隠された問題が重要であり, そのため阻害要因を
(A) 競争原理 (市場機構) 一般からくる要因
(B) 廃棄物の特性からくる要因
との2つに分け, 具体例を挙げて考察する.
これらの考察によって, 総合的に再資源化を進めるには, 非市場的解決の方法と経済構造の改革が必要なことがわかるであろう.
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