本研究では, 糸状性バルキング活性汚泥を用いてオゾン処理によるバルキング制御効果の定量化のため, 回分式実験と連続実験を行った.
回分式実験の結果, オゾンがバルキング汚泥の細胞外ポリマーの生成量に及ぼす影響, そして細胞外ポリマー量と沈降性との相関性は, 汚泥表面の細胞外ポリマー量を測定してSVIとの比較分析によって把握できた.そして, 細胞外ポリマー量は, RR
+が汚泥の細胞外ポリマーに対する強親和性を有することからルテニウムレッド (RR
+) 吸着等温線を求めて検討することができた.これによって, 糸状性バルキングの制御において, オゾンの注入にはその適量があり, 注入量が多すぎると逆に好ましくない状況になることが分かった.実験の範囲で, 適正オゾン注入量と接触時間はそれぞれ16.5~27.6mgO
3/gSS, 3~5分であった.連続実験の結果から, オゾン処理を行った沈殿槽汚泥を返送させることによりSVIが286ml/gから100ml/gまで減少した.オゾン処理を中止した後も低SVIを示し, バルキング汚泥をオゾン処理することによって糸状性微生物が制御でき, 安定性を保つことが分かった.さらに, オゾン処理によって処理場放流水の水質の向上も期待できることが分かった.
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