起伏の複雑な地形に形成される微気象の数値シミュレーションを行うため, 周辺地形による日射の遮蔽 (日影) 効果を考慮した日射量推定モデルを開発した.このモデルでは, 日射量を直達成分と散乱成分に分離し, 周辺地形によって直達成分が遮蔽される影響を50mメッシュ間隔で考慮した.京都盆地や丹後高原を含む複雑地形にこの日射量推定モデルを適用し, 京都, 美山, 園部, 能勢におけるアメダスデータの実測値と比較したところ, 複雑地形では日影効果によって1日当たりの日照時間が最大で2時間以上も短縮されていることが確認された.また, 日影効果を含めた日射量推定モデルを3次元大気環境シミュレータに導入し, 微気象の数値シミュレーションを行った.日影効果を組み込むことにより, 太陽高度が低いために日影効果が現れやすい冬季 (12月中旬) の日射量分布が詳細に再現され, 計算領域内の日積算日射量は5.7~10.4MJ/m
2/dayの範囲で不均一性が生じた.この日影効果により, 地表面付近の気温は最大で2.7K低下し, 山間部から平坦地に吹き降ろす風速は最大で0.9m/sも大きく解析された.
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