本研究は下水汚泥脱水ケーキ中のクロムの酸化と溶出の抑制を主目的とし, 下水汚泥脱水ケーキの熱分解操作時の特性解明を行ったものである.実験は, 砂層内法700
□mmの角型構造の流動床炉を用い炉内空気比0.56~1.10の範囲で実験を行った.試料としては, 4種類の下水汚泥脱水ケーキを使用し, 固形分中の総クロム含有量は, 最大約4, 000mg/kg DS, ケーキ水分は乾燥機により調整し, その範囲は約40~80%とした.
実験の結果, 熱分解条件下では通常の焼却時よりも高い負荷性能 (砂層ケーキ供給速度) が可能であり, その場合の有効燃焼負荷は高分子系, 石灰系ケーキとも/ほぼ一定値 (4.5~4.7×10
5kcal/m
2hr) であった.また負荷性能, 砂層内燃焼率とも空気比と強い相関があった.クロムの酸化と溶出の抑制に関しては, 石灰ケーキでは, クロム含有率が高い場合, 空気比をかなり低下させる必要があるが, 高分子系ケーキでは弱い還元 (空気比1.0近く) で, その抑制が可能であった.また, 熱分解操作によって発生する熱分解ガスは再燃焼を行うことで充分処理できた.
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