小規模下水処理に適した窒素・リン同時除去システムの開発を行った.処理フローは, 嫌気性ろ床→加圧浮上分離→好気性ろ床とし, 好気性ろ床処理水を硝化液として嫌気性ろ床に循環した.嫌気性ろ床には, 比表面積の大きなプラスチック製接触材を充填し, ろ床の生物膜による閉塞を防止し効率的な脱窒を行うために撹拌装置を設けた.好気性ろ床には2床式 (上部にプラスチック製接触材を充填し下部にアンスラサイトを充填) を用い, 上部の接触材は散気によって流動化する方式とした.さらに, リン除去のために, 金属凝集剤を浮上槽流入管に添加した.金属凝集剤は, ポリ塩化アルミニウムとポリ硫酸第二鉄の2種類について実験した.
実下水を用いたパイロットスケールの実験 (処理水量約25m
3/日) を行い, 低水温期 (11.5~18.5℃) においても, 全処理時間約6.5時間で良好な窒素・リンの同時除去 (硝化率90%以上, T-N除去率約75%, T-P除去率約90%) を達成した.また, 日間の流入下水の流量変動を想定した実験を行い, 安定した処理性を確認した.
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