本研究の目的は, 基礎的実験を通して下水汚泥の濃縮脱水を曝気槽や沈澱槽を利用して行える方法, 円筒型ろ布ろ過法を提案することである.研究の背景には, 大規模な下水処理施設の整備もほぼ終わり, 地方での小規模下水処理の普及が図られるなかで, とくに省資源・省エネルギーに対する具体的な技術の提案が不可欠となってきていることをあげることができる.そこで汚泥の処理処分の簡素化を図る一環として木綿で作ったろ布を円筒型にして, しかも曝気槽や沈澱槽といった水中で用いる回分式システムを構築するための基礎実験を行った.ろ過圧力1気圧以下の低圧のもとでのろ過により汚泥含水率として90%以下, 条件により85%が得られることが分かったが, デッドエンド方式で用いた本ろ布筒の場合にはその位置により含水率に差が生じ, 流れの先端部ほど含水率が低下することが確認された.これらの結果から, 本方式の有効性がある程度明らかになった.
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