日本農芸化学会誌
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44 巻, 9 号
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  • ソテツ花粉細胞から塩溶液によって溶出されるリボヌクレアーゼ,フォスフォモノエステラーゼについて
    原 彰, 吉原 和子, 渡部 常樹
    1970 年 44 巻 9 号 p. 385-392
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ソテツ花粉細胞を破壊することなく種々の塩類溶液に浸漬するとPMaseやRNaseが溶出されるが,シュクロースやグルコースなどの非電解溶媒では溶出されないことを見出した.食塩による最適溶出濃度は0.5Mであり,その濃度では花粉から酵素は急速に溶出された.
    (2) 酢酸亜鉛は0.5M食塩の存在下でもRNaseの溶出をさまたげたが, PMaseは溶出させた.その作用が亜鉛イオンによるものかどうか明らかにできなかった.
    (3) 酢酸ナトリウムによって花粉から溶出したRNaseをDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィー,セファデックスG-100によるゲル濾過によって部分精製を行なった.得られたRNase画分は収率37%であり, PMaseは0.03%以下にまで除去された.
    (4) 精製されたRNaseは,至適pHが5.7付近にあって, RNAを分解してヌクレオシド2', 3'-環状リン酸および3'-モノヌクレオチドを生じた.
  • 生産菌株の検索と溶解試験
    馬田 三夫, 平緒 一暁, 木村 義夫, 野田 国彦
    1970 年 44 巻 9 号 p. 393-400
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 酵母の生細胞溶解酵素を得る目的で, 90余種類の担子菌のなかから,寒天培地上の酵母コロニーを溶解する6菌株を分離した.
    (2) 6菌株の麩麹抽出液はいずれもS. fragilisの発育抑制作用や加熱処理細胞に対して溶解活性を有することを明らかにしたが,S. cerevisiaeについてはNo. 15, 24および38の3菌株にしか抑制作用を認めなかった.
    (3) No. 38菌株の溶解因子はその性質から抗生物質であるものと推定し, No. 24菌株の溶解因子は酵素であるとの推定のもとに,その性質を調べ最適pHは4.0, pH 4~5の範囲で安定であることを明らかにした.
    (4) 本溶解因子をS. cerevisiaeの生細胞に作用させると短時間でこれを溶解し,典形的なプロトプラストも形成することを顕微鏡観察によって明らかにした.
  • 竜脳の微生物転換(その2)
    林 哲吾, 柿本 武彦, 上田 博夫, 辰巳 忠次
    1970 年 44 巻 9 号 p. 401-404
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 竜脳はPseudomonas pseudomallei (strain H)によりcamphor, campholytolactone C9H14O2, 2, 6-diketocamphane C10H14O2に転換されることを既報したが,さらに1, 7, 7-trimethyl-2-oxo-6-hydroxy-bicyclo〔2, 2, 1〕-heptaneをも生成することを推定した.
    (2) 生成されたcampholytolactone C9H14O2はさらに転換されて, 1, 7, 7-trimethyl-2-oxa-3-oxo-6-hydroxy-bicyclo〔2, 2, 1〕-heptaneに転換される.
    (3) 本菌はまた合成C10-lactone (campholide)をも転換して, 1, 8, 8-trimethyl-2-oxa-3, 6-dioxo-bicyclo〔3, 2, 1〕-octaneと推定できる物質を生産する.
  • 阪本 禮一郎, 本間 和男, 藤井 ミチ子, 本田 幸一郎
    1970 年 44 巻 9 号 p. 405-411
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒマ発芽種子胚乳よりミトコンドリアとグリオキシゾームを分離し,それぞれに含まれるクエン酸合成酵素について電気泳動を行ない,その泳動の違いよりアイソザイムであることを確認した.さらに,ヒマ胚乳の粗顆粒画分よりクエン酸合成酵素の精製を試みた.リン酸カルシウムゲル処理,硫安分画の後, DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーを行ない, 2つの酵素活性ピークを得た.おのおのがミトコンドリアとグリオキシゾームのクエン酸合成酵素と電気泳動的に一致した.
    次に, M-CS, G-CSの性質を検討した.
    (1) 最適pHはM-CS, G-CSともに8.0~8.1であり, pH 8.0におけるアセチルCoAに対するKmは,それぞれ3.4×10-5M, 8.5×10-5M,オキザロ酢酸に対するKmは,それぞれ0.83×10-5M, 4.5×10-5Mであった.
    (2) M-CS, G-CSは,ともにクエン酸,グリオキシル酸により拮抗的な阻害を受け,コハク酸によりそれぞれ拮抗型,非拮抗型の阻害を受けた.
    (3) M-CSはATPにより強く阻害され,その阻害様式は,アセチルCoAに対して拮抗型であった.
    G-CSはM-CSよりATPの阻害が弱く,阻害様式は混合型であった.
  • 塊根の発育にともなう炭水化物およびヌクレオチド量の変化について
    村田 孝雄
    1970 年 44 巻 9 号 p. 412-421
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    甘しょ塊根の発育期における炭水化物およびヌクレオチドの量的変化を調べた.
    (1) デンプンの蓄積は塊根発育盛期に最も著しく,露光処理によって完全に停止する.可溶性糖およびセルロースは発育初期に含有量が大きく,発育盛期には減少してほぼ一定の値を示した.
    (2) 発育期塊根から単離したヌクレオチドは, AMP, ADP, ATP, ADPG, UMP, UTPおよびUDPGで,その他にl-アスコルビン酸である.これらヌクレオチドのうち, UDPGは塊根発育初期にとくに含有量が大きく100μmoles/kgである. ADPGは発育盛期に最も大きく10μmoles/kg程度となる. ATPは発育全期を通じて比較的大きい含有量で経過するが発育盛期に最も大きい.また土壌水分によってヌクレチオド組成が変化し,湿潤状態ではATPが速やかに消失し, ADPGも認められなくなる.露光処理はADPG合成反応を阻害するものと推定された.
    (3) ADPG-デンプン合成酵素活性は発育初期に大きく,しだいに低下するが,露光処理によってむしろ増大する.
    以上の実験結果をもとに,生体内におけるしょ糖からのデンプン合成のメカニズムについて考察した.
  • 萩野 浩志, 中山 清
    1970 年 44 巻 9 号 p. 422-427
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Brevbacterium ammoniagenesのリジン要求変異株の数株がDAPを蓄積する現象を認め, No. 5021株を用いDAP蓄積条件の検討を行なった.
    (1) 生育に必要なL-リジン濃度が400μg/ml(塩酸塩として)付近でDAPの蓄積は最大となり,それ以上のリジン濃度では生育量の増加がみられたが, DAPの蓄積量は減少した.
    (2) L-リジン源として各種天然物を添加したとき, DAPの蓄積量の増加が認められ,とくに酵母エキス,カザミノ酸の添加により生育量の増加が認められるとともに, DAPの生成量が顕著に増加した.
    (3) DAPの前駆物質であるアスパラギン酸の添加はDAPの蓄積を著しく増加させた.コハク酸,クエン酸,ギ酸,グルタミン酸の添加によっても同様な効果が認められた.
    (4) グルタミン酸醗酵菌菌体分解液の添加効果は顕著であり,菌体分解液とL-リジンの併用添加により,最高7.1mg/mlのDAPが蓄積した.
  • シソおよびアオジソの精油
    藤田 安二, 藤田 真一, 葉山 良子
    1970 年 44 巻 9 号 p. 428-432
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The essential oils of Perilla acuta (Thunb.) Nakai (Shiso) and Perilla acuta Nakai f. viridis (Makino) Nakai (Aojiso) were found to consist equally from small amounts of α-pinene (0.3_??_1.3%), camphene (0.0_??_0.1%), β-pinene (0.5_??_2.2%), p-cymene (0.2_??_0.4%), 3-octanol (0.3_??_1.4%), 1-octen-3-ol (0.1_??_2.0%), trans-linalooloxide (0.0_??_0.2%), cis-linalooloxide (0.0_??_0.2%), linalool (1.9_??_8.3%), β-ylangene (0.1_??_0.3%), benzaldehyde (0.4_??_1.3%), caryophyllene (5.3_??_8.6%), α-terpineol (0.1_??_0.5%), α-farnesene (2.7_??_6.5%), carvone (0.0_??_0.8%), trans-carveol (trace), cis-carveol (trace), allofarnesene (0.5_??_3.9%), trans-shisool (8-p-menthen-7-ol) (2.2_??_8.2%), cis-shisool (0.0_??_0.6%), l-perillylalcohol (1.0_??_4.5%) and other compounds, besides l-perillaldehyde (32.0_??_54.8%) and l-limonene (8.4._??_32.4%) as the main constituents.
  • 新林 恒一
    1970 年 44 巻 9 号 p. 433-436
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The free amino acids in the plasma or serum of goat and rat were investigated by using ion-exchange chromatography. The free amino acids in the liver of the both animals were also investigated. In general, the pattern of the free amino acids in the plasma or serum were found to be similar to each other. However, the concentration of free glycine was significantly higher in goats than in rats and that of threonine was conversely lower in goats than in rats in the case of plasma. And the concentration of leucine was very similar to that of isoleucine in goats, but the former was higher than the latter in rats.
    The concentration of most free amino acids in the liver was remarkably high compared with that in the plasma. The concentration of ornithine was higher than that of lysine and the concentration of arginine was very low in the both animals in the liver.
    From the observation on the free amino acids in the content of the intestine, the portal blood, the liver, and the jugular vein, it is thought that serine may be actively used for the biosynthesis of phospholipid.
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