1) 長い暗期 (16時間以上) の最初の2~4時間目に5分間3000erg/cm.
2/sec. の赤色光を与えても 花芽形成は抑制されない. しかし8時間目に与えるといちじるしく抑制される.
2) 暗期前8時間10ルックスの昼光色螢光燈光 (FL) を与えると, 暗期が16時間以上の場合には, わずかに花芽形成が抑制され, 暗期が12時間以下の場合には花芽形成が促進される. 8時間FL照射 後, 5分間赤色光を与えると暗期の長さに関係なく花芽形成は抑制される. 暗期反応の初期段階はFL下で進行し得るものと考えられるので, この赤色光の効果は恐らく光中断効 果によるものであろう.
3) FLに120erg/cm.
2/sec. の近赤外光を混ぜた光 (FL+FR) を暗期前8時間与えると,暗期が14 時間以上の場合には花芽形成が抑制され, 暗期が10時間以下の場合には促進される. FL+FRと暗期の間に与えた5分間の赤色光は暗期が16時間以上の時には花芽形成を促進し, 暗期 が14時間以下の場合には花芽形成を抑制する.
4) FL+FR照射後に与えた赤色光は二重の効果を有するものと考えられる.
i) 暗期前に与えたFL+FRの花芽形成抑制効果を消却する.
ii) 暗期反応の初期段階はFL+FR下で進行し得ると考えられるので, この赤色光は光中断効果 (花芽形成抑制効果) を有する.
FL+FR後に与えた赤色光の効果としては, 上記二重効果の差が現われてくる.
5) 12時間の暗期前に2~6時間, FL, FL+FR または暗期を与え, 両者の間に5分間の赤色光を与 えると, 開花反応はいずれの場合もほとんど同じである. すなわち, 暗期反応の最初の2~6時間は, FL, FL+FR下で暗黒中におけると同様に進行しているものと考えられる.
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