ジベレリンの暗発芽誘起作用に対する数種の塩類の影響を10か月ないし29か月間貯蔵したタバコ種子 (ブライトエロー種) を用い, pH を調整した発芽床で調べた. ジベレリンは, それ単独では非常に低い発芽率を示すような低濃度のものを用いた. HCl-KOH, HCl-NH
4OH, HNO
3-KOH という組合わせfr pH を調整した場合には, pH2.0~3.0 と 4.7~5.5 で発芽率が大となる. しかも種子の貯蔵期間の長いものほど前者の pH 域での最適 pH が酸性に傾き, それとともに発芽率が大となる. また後者の pH域では発芽率が次第に低下する. H
3PO
4-KOHで pH を調整したときは, pH2.0~2.7, 4.0 付近, 5.0 付近の3つの pH 域で発芽がよくなる. しかも第一の pH 域では貯蔵期間の増大とともに発芽率が大となり, 第二•第三主の pH 域では発芽が低下するようにみえる. H
3PO
4-NH
4OH を用いたときはpH 2.0, 3.0付近, 4.0付近, 5.0 付近で発芽率が大となり, 第一•第二の pH 域では貯蔵期間の増大とともに発芽率が大となり, 第三•第四の pH 域ではその逆となる.
これらの現象からタバコ種子の発芽を問題とするときには, 種子の生理的令と pH とを重視する必要があり, また生理令の進行とともに少なくとも pH 5 付近でおこるジベレリンの暗発芽透起作用する物質の減少が考えられる.
抄録全体を表示