植物学雑誌
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78 巻, 921 号
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  • von Riclef GROLLE
    1965 年 78 巻 921 号 p. 79-84
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    疑問種 Gymnanthe concinna Mitt. を研究した結果, 本種のために Acrobolbus 属に Lethocoleopsis Gro. subg. n. を設けた [G. concinna Mitt.→A. (Lethocoleopsis) concinnus (Mitt.) c. n.]. 記載, 図 を与え, 異名を整理し, 本種の異名として新しく次の3種を加えた. Marsupidium rotundifolium Berggr., Alicularia tenella Rodway, Symphyomitra weymouthii Pears.
    疑問種 Tylimanthus limbatus Steph., T. wilmsii Steph., T. nummularius Herz. の3種がす べて同一であり, かつ Marsupidium 属にはいることを確めた.→M. limbatum (Steph.) c. n.
    次にLethocolea の名種を吟味して本属から次の2種を除外した. L. concinna (Mitt.) Bestow→ Acroblobus concinnus (Mitt.) Gro. (前出). L. grandijolia Berggr.→Jungermannia hodgsoniae Gro. nom. nov. 一方次の3種を本属に新しく加えた.Jungermannia radicosa L. et L.→Lethocolea radicosa (L. et L.) c. n. (本種の異名として Calypogeia fistulosa Mitt., C. solitaria Kaal., Tylimanthus hallei Steph. を新しく加える). Symphyomitra grossophylla Spr.→L. glossophylla (Spr.) c. n. (本種の異名に新しく Calypogeia euthemona Spr.を加える). Symphyomitra javanica Schiffn.→L. javanica (Schiffn.) c. n. その結果本属は6種を含むことになる.
  • カドミウム耐性におけるポリリン酸の意義
    中村 運
    1965 年 78 巻 921 号 p. 85-90
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Saccharomyces ellipsoideus のある株を用い, カドミウム耐性におけるポリリン酸代謝の役割について調べた. 細胞をリン飢餓の状態におくと, カドミウム感受性が著しく高まるが, これに無機リン酸を与えると, 徐々に,カドミウム耐性が回復する. このとき, 酸可溶性および酸不溶性のポリリン酸の細胞内蓄積が平行する. 一方, 細胞をカドミウム培地に植えると, 細胞のカドミウム含量は, 誘導期中に, 急速に高まり, 加速期に最高値に達する1). この時期の細胞のポリリン酸はほとんど全部水溶性であるから, カドミウムがポリリン酸と結合して無毒化されているとは考えられない. しかし, 耐性菌の間には, ポリリン酸の細胞内での存在様式が大きく異なっているから, ポリリン酸代謝がカドミウム耐性になんらかの意義をもっていると想像される.
  • 石倉 成行, 林 孝三
    1965 年 78 巻 921 号 p. 91-96
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    紫色ダイコンに含まれるアントシアニンは, Harborne のろ紙クロマト試験によれば, シアニジンの三糖配糖体 (rubrobrassicin) がパラクマール酸またはフェルラ酸とエステル結合をした2種類の色素の混合物であるという. 著者らはさぎに, ダイコンの赤色品種と白色品種との雑種F1の紫色根皮から得た色素をけん化して結合有機酸を除去した三糖配糖体部分を結晶化し, このものがcyanidin-3-diglucosido-5-monoglucoside(rubrobrassicin) であることを証明した.
    今回は, 有機酸結合をもつ原色素をカラムクロマト法で分別し, ついでろ紙電気泳動法および薄層クロマト法で各分画を調べた結果, 紫色ダイコンには5種類の complex glucoside が混在することを見出した. そして各アントシアニンを過酸化水素で処理することによって, 各成分における糖および有機酸の結合様式は, 本文 (p. 91) に示したように, 赤ダイコンにおける pelargonidin 系配糖体の場合とまったく対応していることが明らかにされた.
  • 河野 昭一
    1965 年 78 巻 921 号 p. 97-108
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Moronoboideae は中南米, アフリカ, マダガスカル, ニュー•カレドニアの熱帯に局所的分布域をもつ小さな7属よりなるオトギリソウ科 (Guttiferae) (広義) の一亜科である. この亜科に属する植物はいずれも向軸性で0.8-3cmに達する細長い線型の葯室をもち, 葯隔の柔組織の非常に発達した束生雄性花をつけることで特徴づけられる. この雄性花の非常に特異な形態からしても, 他のオトギリソウ科植物の形態的特徴を考える時, Moronoboideae に属する植物を広義の Guttiferae に一括して入れておくのは問題である3,5). 本研究では Moronoboideae 7属中の4属に属する6種 Montrouziera sphaeroidea, M. cauliflora,Moronobea riparia, M. pataritepuiana ssp. neblinae, Thysanostemon pakaraimae, Symphoniaglobulifera の雄性花の解剖学的特徴をしらべた. これらの4属に属する植物はいずれも花托にて花弁, 雄性花へ維管束が分離, 移行の際, 中心柱から直接にいわゆる枝隙と非常に似た型をとり, 5個の外篩管状中心柱を形成する. これらから花弁への維管束が分離した後でも, 基本的に同じ管状中心柱状を示し, さらにそれぞれの雄ずいへの維管束群を分離する. その数は Montrouziera sphaeroidea では7, M. caulifloraで11, Moronobea riparia で 4, M. pataritepuiana ssp. neblinae で3または4, Thysanostemonpakaraimaeで4または5, Symphonia globulifera で3または4とそれぞれの種の雄ずいの数によって一定している. 葯隔の柔組織を走る維管束の排列は基本的にはすべて類似しているが, 種によってはめいりょうな相違を示す. Montrouziera, Thysanostemon では花弁への維管束が分離した後でも管状に排列した構造を保ち, 葯隔の先端部に移行するにしたがい, ゆるく散開する. Moronobea は上記のものの変型とみなされ不規則な型の外篩包囲維管束状を示し, 葯隔の先端部に移行すると10-12個の小さな不規則に排列した管束系となる. Symphonia 属はこれら4属中では最も特殊化したものとみなされ, 雄性花の横?108 Bot. Mag. Tokyo Vol. 78断面に見られるとおり, 3または4個の雄ずいが完全に癒合した形態を示す. また葯隔部も完全に癒合し筒状となり, 横断面でみると環状である. 雄ずいへの維管束は花弁への管束が分離した後, やや不規則な分裂をくり返し, 先端部に進むに従い二列に並立した型となる.ここに記載された4属の植物の束性雄性花の維管束系は Wilson によって報告されたDillenales に属する植物のものと基本的に同じ構造を示し, Mosley, Canright (cf. Eames) らにより観察された Ranalesの Magnolia, Nymphaea, Nelumbo などの雄性花の維管束系とは対照的な違いを示す. 雄性花の起源は-Wilson らがいうように葯室をもった原始的な二又分枝より由来するものであるか, またらEamesの主張するように葉類より由来するものであるのか, それともまた, 現在未だ化石が発見されていないような形態をもつものを通じていろいろな型を示すものが放散的に分化してきたものであるのか-いずれにせよ今後, 化石および現存する植物の比較解剖学的研究を待たねばなるまい.
  • 中村 義輝
    1965 年 78 巻 921 号 p. 109-110
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
  • 佐伯 敏郎
    1965 年 78 巻 921 号 p. 111-119
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
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