植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
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72 巻, 855 号
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  • 山段 忠, 宗村 隆生
    1959 年 72 巻 855 号 p. 337-341
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    フラモス節間細胞の原形賢流動速度は適当濃度のATP処理によって促進される。もっともいちじるしい効果は1×10-3M ATPでみられ, この場合流動速度は標準値の15%程度高められる。その促進効果はATP添加後約15分であらわれ, 50分以上続くが, ATP除去によって10分以内に失われる。
    AMPに関しては, いかなる濃度でもATPでみられるようなあきらかな促進効果はみとめられない。
  • 笠巻 明子, 佐々木 昭治, 宇佐美 正一郎
    1959 年 72 巻 855 号 p. 342-348
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Proteus vulgaris の生長過程におけるブドウ糖の代謝活性についてしらべた。醗酵能, 呼吸率, ブドウ糖消費量, ブドウ糖からの有機酸の生成, および種々の呼吸阻害剤によるブドウ糖酸化に対する阻害度を, 生長の各時期で得られた休止菌を用いて比較検討した。
    醗酵能およびブドウ糖消費率は, 生長の対数期に相当する90分から120分培養した菌で, 急激に増加することがみられた。その他の点では, 生長を通じ有意義な差異はみられなかった。
  • 植田 利喜造, 和田 優
    1959 年 72 巻 855 号 p. 349-360
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. Structure of plastids was investigated using variegated plants of 41 species belonging to 22 families. For the study of plastid development, Agave americana var, variegata Nichols and a variegated form ofAllium fistulosum L. were employed. The results were summarized in Table 1 and Figs. 1 and 2.
    2. Albicated plastids account for the structural abortion. The number of grana in albicated plastids is remarkably small in comparison with that of the normal green chloroplasts. Accordingly, albicated plastids are usually devoid of chlorophyll.
    3. InAgave andAllium, the granum in albicated plastid ceased to multiply at an earlier stage of development.
    4. Molisch's reaction is found to be positive in all albicated plastids as well as in normal green chloroplasts,
    5. In some species of Liliaceae, albicated plastids and green chloroplasts were present admixed in a single cell.
  • ツクリタケ (西洋マツタケ) 子実体の生長ホルモンの存在
    萩本 宏, 小西 通夫
    1959 年 72 巻 855 号 p. 359-366
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. ツクリタケ (西洋マツタケ) で,子実体の生長促進ホルモンの存在を実験的に明らかにし, さらにかような生長ホルモンが, 広く担子菌の子実体の生長に関与しているという考えを提示した。
    2. 伸長生長の盛んな30mm. 位の子実体を用い, そのかさの前後の部分を除き, 左右にのみかさをもつ植物体を実験に使用した (図1)。この左右のうち, 一方のかさからひだを完全に除くと, 子実体の柄はひだの除去された側に屈曲する。またひだの残された側のかさに, いろいろの程度に傷をつけても屈曲が起る(写真1)。ひだの量を, 左右異った程度に除くと, 柄はひだの少なく残された側に屈曲する。さらに左右のかさのうち, 一方のかさと, 柄の接合点に雲母板を挿入すると, 柄は雲母板の挿入された側に屈曲する (写真2)。しかし一方のひだを除き, 他方の残されたひだをもつかさと, 柄の接合点に雲母板を挿入しても, 柄は殆ど屈曲しない。
    3. 子実体の柄の屈曲は, 傷やこれに伴なう水分の発散によって起るのではなく, ひだの存在と密接な関係がある。
    4. 生長ホルモンは, ひだでつくられ, かさおよび内被膜か通って, 柄の生長帯に向基的に移動し, 細胞の伸長を促進する。
    5. ヒトヨタケ属, その他の担子菌の子実体の生長も, また同様な生長ホルモンにより調整されていることが, かさの一部除去により明らかとなった (写真3)。
    6. ツクリタケの子実体を用いると, いろいろの菌の子実体の生長ホルモンの検定が可能である。
  • 戸塚 績, 門司 正三
    1959 年 72 巻 855 号 p. 367-374
    発行日: 1959年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    水分経済と物質生産の両面から, 植物の一時的しおれがその後の生長にどのような影響を与えるかを追及するために, タバコ幼植物を水耕し, その水位を2,4,6,8cm.の四段階に低下させ, 約5000luxの連続照射,温度25°, 湿度49~62%,CO2濃度約0.55mg./l.の条件のもとで栽培した。水位の低下につれて生長は減退した。すなわち実験開始11日後の乾物生長量の割合は2,4,6,8cm. 区においてそれぞれ100,87.5, 78.9, 68.6となり, 最初の3日間の平均一日当りの純同化率NARは水位の低下の順に減少した。NARを支配する各因子の変化は次のようであった。a)非同化器官と葉面積との割合は各区において大差なかった。b)水位低下により葉に水分欠乏が生じた。c)葉の水分欠差と, 水位低下の度合を表わす根の生量に対する葉面積の割合 (active root/leaf area ratio) との間には密接な関係があった。d) 葉の窒素含量には顕著な変化はみられなかった。e)葉の水分欠乏が進行するにつれて同化量はほぼ直線的に減少したが,呼吸量はほとんど変らなかった。f)茎, 根の含水量変化は認められなかった。従つて茎, 根の呼吸率の変化は起らなかったと考えられる。
    以上の諸事実にもとずいて生長の低下の原因をさらに確かめるために, 葉の水分欠差と物質生産を結びつけて2cm. 区と8cm. 区の生長を計算した結果, 実測値とほとんど一致した。それ故, 水位低下によつて生じた生長量の減少は主として葉の水分欠乏による同化量の減少の結果といえる。
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