日本農芸化学会誌
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40 巻, 12 号
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  • 温度勾配培養装置の設計
    中江 利孝, 中西 武雄
    1966 年 40 巻 12 号 p. 431-436
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    微生物を液体の上下方向の定常熱伝導の下で培養する温度勾配培養(TGI)装置を考案した,本装置は円筒型の温度勾配槽に伝熱媒体としての液体を満たし,その上下両底面に上部が下部よりも高い温度の恒温流水槽を接触させることによって,一定時間後に上下方向の定常熱伝導を生じ,温度勾配槽の深さに応じた一定の温度分布が保持される.したがって,この液槽に固体培養基を封入または平板にしたガラス培養管を立てることによって,微生物を温度勾配下に培養することができる.液槽の深さとそれに応ずる温度分布をできるだけ直線的関係にするためには,円筒側面を断熱した状態で,グリセリンまたは水を熱媒体に用いることが望ましく,簡易と再現性の点からは特に水が適している.
    この方法は上下両恒温槽の温度を任意に設定でき,温度勾配下における微生物の発育ないし生物学的活性に関与する濫度特性を知ることができよう.
  • 化学構造と抗菌性の関係
    石井 至, 片桐 政子, 坂詰 偕一郎, 見里 朝正
    1966 年 40 巻 12 号 p. 437-442
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    760種類の感光色素について稲白葉枯病菌に対するin vitroの抗菌力を試験した結果, 205種類の色素が有効であった.その中で4種類の色素は0.1μg/mlの濃度でXanthomonas ovyzaeの生育を完全に阻止した.有効であった感光色素は, 4級窒素を含む複素環核と3級窒素を含む複素環核, benzopyran核, aminostyryl構造とをそれぞれmethine鎖で連結した型の色素であった.これらの試験結果から,供試感光色素の化学構造と抗菌性の関係について考察を行なった.また温室内で稲白葉枯病防除試験を行なった結果,数種類の感光色素が高い防除効果を示した.
  • セルロースの熱分解生成物
    加藤 邦雄, 土肥原 利子, 酒井 富久美
    1966 年 40 巻 12 号 p. 443-448
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 粉末セルロースを空気中で熱分析した結果, 250°から350°で著しい減量を示した.セルロースの化学構造の変化,および熱分解によって生成したフルフラール量の増加も,この濫度範囲で著しかった.
    (2) 350°でのセルロースの乾熱分解物をペーパークロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーで分析し,ギ酸,酢酸,プロピオン酸, iso-およびn-酪酸,プロピオンアルデヒド,ブチルアルデヒド,フェノールおよびo(m)-クレゾールを確認し,アセトアルデヒドおよびフルフラールを2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンとして単離,同定した.
    分解生成物中の水分は78.6%であり,フルフラールおよび酸(ギ酸および酢酸)の生成量は,それぞれセルロースの約1.4%および1.1%であった.
    (3) セルロースおよびレボグルコサンの熱分解によって生成したフルフラール量を比較検討した結果から,セルロースの熱分解は中間体にレボグルコサンを経ない系の存在することが推定された.
  • 茎葉のフェノール化合物およびオルソジフェノールオキシダーゼの蛋由質の消化率におよぼす影響
    堀米 隆男, 神立 誠
    1966 年 40 巻 12 号 p. 449-455
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    家畜の飼料に用いられる11種の植物を用い,その茎葉についてフェノール化合物含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度を測定し,また,生および乾燥茎葉のアセトンパウダーについて,ペプシン,トリプシンによって蛋白質の消化試験を行ない,次の結果を得た.
    (1) 茎葉のオルソジフェノール含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度は,植物の種類により大きな差異があり,オルソジフェノール含量大なるものは,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度も高いことが認められた.
    (2) 茎葉の乾燥により,オルソジフェノールは減少し,その減少率はオルソジフェノールオキシダーゼ活性度の高いものにおいて大きい傾向のあることが認められた.
    (3) 生茎葉アセトソパウダーの蛋白質のペプシンによる消化率は,消化にさきだちpH 6.3でアセトンパウダーを保温した場合(前処理),オルソジフェノール含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度の高いものにおいて低かった.トリプシンによる消化率は,前処理に関係なく,上述と同じことが認められた.
    (4) 乾燥茎葉の蛋白質の消化率は,ペプシン,トリプシンいずれの場合も,オルソジフェノール含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度と関連があり,両者の高いものの消化率は低い傾向が認められた.
    以上の結果から,茎葉のオルソジフェノール化合物およびオルソジフェノールオキシダーゼは,茎葉蛋白質の人工消化率に影響を与え,低下させるものと考えられる.
  • 酸性成分およびフェノール成分
    山崎 昌良
    1966 年 40 巻 12 号 p. 456-460
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィーを用いて桑葉揮発性成分-酸性,フェノール両成分の検討を行なった結果,酸性成分については従来より知られていた有機酸のほかに2種の未知成分が存在し,フェノール成分についてはフェノール,オイゲノール,o-クレゾール,グアヤコール,サリチル酸メチル,およびm (or p)-クレゾールを新たに確認し,さらに1種の未知成分の存在することを明らかにした.またこれら主要成分の相対量を検量曲線より求めるとともに,蚕期別に得られた桑葉中の各成分変化をも調べた.
  • (第5報) オニユリ花粉のフラボノイド色素について
    斗ケ沢 宣久, 勝又 悌三, 川尻 秀雄, 小野寺 紀雅
    1966 年 40 巻 12 号 p. 461-465
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    オニユリの花粉30gから色素I, IIを結晶状に分離した.収量はそれぞれ17mg (0.056%), 11mg (0.036%)であった.色素Iはm.p. 191~193°の淡黄色針状結晶,色素IIはm.p. 179~182°(分解)の黄色針状結晶で,融点, PPCによるRF値,呈色反応,紫外線および赤外線吸収スペクトルなどは,それぞれルチンおよびナルシシンと一致する.さらに両色素を加水分解し,得たアグリコンはいずれもm.p. 300°以上の黄色針状結晶で,紫外線吸収スペクトルは,それぞれクエルセチンおよびイソラムネチンと一致し,構成糖は両色素ともグルコース,ラムノースよりなることを認めた.以上から分離した色素Iをルチン,色素IIをナルシシンと同定した.
  • 亜鉛の定量
    増村 忠宏, 菅原 道熙, 有吉 修二郎
    1966 年 40 巻 12 号 p. 466-468
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    配合飼料および原料の品質管理の目的で,原子吸光分析法による亜鉛の迅速定量法について検討した.
    (1) 亜鉛の適当な測定条件を定めた.
    (2) 亜鉛の吸光度におよぼす酸濃度の影響,共存元素の影響,添加回収試験,吸光光度法との定量値の比較,定量値の再現性などについて検討を行ない,原子吸光分析法が,配合飼料および原料中亜鉛の迅速分析法として優れた方法であることを認めた.
  • マンガンと銅の定量
    菅原 道熙, 増村 忠宏, 有吉 修二郎
    1966 年 40 巻 12 号 p. 469-473
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    原子吸光分析法による,配合飼料および原料中のマンガン,銅の迅速定量法について検討を行なった.
    配合飼料や,比較的マンガン含量の多い原料(マンガン含量約5mg%以上)の場合は,常法どおりの乾式灰化処理によって得た試料溶液を,直接,原子吸光分析装置に噴霧して,吸光度を測定し,検量線からマンガン濃度を求めることができた.マンガン含量の少ない原料の定量および配合飼料,原料中の銅の定量は,試料溶液の直接噴霧による方法では感度が不足するため,有機溶媒抽出法(ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムと酢酸エチルを使用)を応用して,原子吸光分析法の定量感度を向上させて測定することができた.
  • 船引 竜平
    1966 年 40 巻 12 号 p. R67-R74
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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