家畜の飼料に用いられる11種の植物を用い,その茎葉についてフェノール化合物含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度を測定し,また,生および乾燥茎葉のアセトンパウダーについて,ペプシン,トリプシンによって蛋白質の消化試験を行ない,次の結果を得た.
(1) 茎葉のオルソジフェノール含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度は,植物の種類により大きな差異があり,オルソジフェノール含量大なるものは,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度も高いことが認められた.
(2) 茎葉の乾燥により,オルソジフェノールは減少し,その減少率はオルソジフェノールオキシダーゼ活性度の高いものにおいて大きい傾向のあることが認められた.
(3) 生茎葉アセトソパウダーの蛋白質のペプシンによる消化率は,消化にさきだちpH 6.3でアセトンパウダーを保温した場合(前処理),オルソジフェノール含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度の高いものにおいて低かった.トリプシンによる消化率は,前処理に関係なく,上述と同じことが認められた.
(4) 乾燥茎葉の蛋白質の消化率は,ペプシン,トリプシンいずれの場合も,オルソジフェノール含量,オルソジフェノールオキシダーゼ活性度と関連があり,両者の高いものの消化率は低い傾向が認められた.
以上の結果から,茎葉のオルソジフェノール化合物およびオルソジフェノールオキシダーゼは,茎葉蛋白質の人工消化率に影響を与え,低下させるものと考えられる.
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