日本農芸化学会誌
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44 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小畑 繁雄, 吉倉 正博, 鷲野 乾
    1970 年 44 巻 10 号 p. 437-446
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 市販ゴボゥ80kgをエーテル抽出し,抽出油を常法どおり酸性部,フェノール部,アルデヒド部および中性部に分け,今回,酸性部およびアルデヒド部を検索した.
    (2) 酸性部から新しい含硫アルキン酸を単離し,ゴボウの学名に従ってArctic acidと命名し,そのメチルエステルの構造を検討し, 5'-(1-propynyl)-5-carbome-thoxy-2, 2'-bithienylであると推定した.
    (3) 酸性部中の揮発性脂肪酸および非オキシ酸を検索し,次の14化合物の存在を推定した.
    Acetic acid, propionic acid, n-butyric acid, isobutyric acid, isovaleric acid, tiglic acid, 2-trans-hexenoic acid lauric acid, myristic acid, palmitic acid, stearic acid oleic acid, linoleic acid, linolenic acids.
    (4) アルデヒド部の検索は回収エーテル中のカルボニル検索と,抽出油より亜硫酸水素ナトリウムより再生したアルデヒドについて検索し,次の9化合物の存在を同定および推定した.
    Acetaldehyde, propionaldehyde, n-butyraldehyde, isobutyraldehyde, n-valeraldehyde, isovaleraldehyde, n-caproic aldehyde, n-caprylic aldehydeおよびbenzaldehyde.
  • Aspergillus nigerのヘミセルラーゼの精製とその性質
    福本 寿一郎, 辻阪 好夫, 竹西 繁行
    1970 年 44 巻 10 号 p. 447-456
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Asp. niger van Tieghemの麩麹培養抽出液のヘミセルラーゼをSE-Sephadex, DEAE-SephadexおよびSephadex G-100またはG-75のカラムクロマトグラフィーにより精製した結果, 4種のヘミセルラーゼ区分(H-I, H-II, H-III, H-IV)とキシロビオースに作用する1区分(キシロシダーゼ)とを得た.
    (2) これらのうち, H-I, H-IIおよびH-IIIは超遠心分析ならびに電気泳動分析の結果,単一物質にまで精製されたことが明らかになった.これら3種の酵素はいずれも“いなわら”および大豆種皮のアラビノキシランに作用するが,大豆種皮のガラクトマンナンに作用しないことからキシラナーゼに属するものとみなされる.また3者は相互に蛋白化学的性質および基質に対する作用機作を異にするものと推定される.
    (3) H-IVは単一物質とみとめられる段階にまで精製されなかったが,この標品についてはアラビノキシランよりむしろガラクトマンナンにより親和性の高い酵素であると推定された.
    (4) キシロシダーゼは高分子基質には作用せず,キシロビオースのようなオリゴ糖に親和性を有する酵素であることが明らかになった.
  • 加瀬 広, 中山 清
    1970 年 44 巻 10 号 p. 457-462
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    種々の細菌からリジン要求変異株を分離した.分離されたリジン要求変異株の中にはリジンをabsoluteに要求するもの,リジソまたはDAPを要求するものがあったが,リジンをabsoluteに要求する変異株の多くはDAPを蓄積した. DAPを蓄積した菌株は, Corynebacterium glutamicum, Arthrobacter ureafaciens, Aeromonas formicans, Rhizobium trifolii, C. fascians, A. globiformisのリジン要求株の中にあった.このうちの1株,A. ureafaciens 39-10 (Lys-)が蓄積したDAPはL-型のみであった.他の変異株ではいずれもメソ型とL型の両方であった. A. ureafaciens, A. formicansのリジン要求変異株でアラニン, S. marcescensのリジン要求変異株でグルタミン酸, C. glutamicumのリジン要求変異株でイソロイシンが蓄積する株も分離された.
  • 還元生成物から2-mithyl-3formylfuranの生成
    藤巻 逸夫, 辻 啓一
    1970 年 44 巻 10 号 p. 463-470
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    With the aid of improved analytical methods, thin-layer methods and polarography the solution of streptomycin (SM) briefly reacted with aluminum amalgam at low pH were found to contain varying amounts of a certain new product, which is neither of the two known reduction products of SM., i.e., dihydro- and dihydrodeoxystreptomycin (DS and DDS, respectively).
    Although attempted isolation of this product failed because of its limited stability in solution, several characteristic reactions of this product were revealed. It is readily reducible to DDS with sodium borohydride. Though it is fairly stable only when pH of the solution is between 2 and 3 at room temperature, it gives a volatile compound absorbing at 271mμ, in the distillate, when distilled with steam at pH 2 to 4. This volatile compound, identified as 2-methyl-3-formylfuran, presumably originates from the reduced streptose moiety of the new reduction product of SM. This new product is probably a 2e, 2H+ reduction product of SM, and is different from DS which is also a product of 2e, 2H+ reduction at the branched formyl group (C-6) of streptose moiety of SM.
  • 反応経過の検討と反応中間体の推定構造
    藤巻 逸夫, 辻 啓一
    1970 年 44 巻 10 号 p. 471-475
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    SMがAl-Hg還元によってDDSに還元される反応経過を新たな定量法により追跡した結果, SMがDDSになる途中に未知の還元中間体の一種が生成することを明らかにした.その生成量は用いたSMの最大25モル%に達し,この未知物質はSMのストレプトース部のC3のヒドロキシル基が還元された物質であると推定した. DDSを二酸化マンガン等の酸化剤で酸化し,水蒸気蒸留すると低収量ではあるが, 2-methyl-3-formylfuran (MFF)が生成する事実も上記の推定を支持する.すなわち中間体の構造は, 1-(1, 3-diguanido-2, 4, 5, 6-tetra-hydroxycyclohexanido)-2-(N-methyl-α-L-glucopyra-nosinido)-3-C-formyl-3, 5-dideoxy-α-L-pentofura-noseと推定される.以後の報告では上記の化合物をdeoxystreptomycin (DOS)と呼ぶ.
  • 生菌懸濁液によるレブリン酸の代謝について
    相田 徳二郎, 山口 和夫
    1970 年 44 巻 10 号 p. 476-483
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) C. humicola No. 9株とR. rubra LA-1株の洗浄菌体のレブリン酸代謝能を基質レブリソ酸の消費能とレブリン酸を基質とする酸素吸収能で測定し,この代謝能が好気的であることを認めた.
    (2) LA-1株のGL-cellを40mMマロン酸存在下でレブリン酸と反応させ,その生産物はシリカゲルカラムで分離され,酸やDNPHのTLCからαKGを含むことを認めた.
    (3) LA-1株のGL-cellとNo. 9株のL-cellの両菌体はMEKを代謝せず,レブリン酸と反応させてもMEKは認められなかった.また両菌体ともピルビン酸を代謝するが,この代謝能は沃度酢酸で阻害され,ピルビン酸代謝をほとんど完全に阻害する濃度の沃度酢酸存在下でレブリソ酸と反応させると,ピルビン酸は認めらずにαKGが認められた.
    (4) No. 9株のGL-cellを40mMマロン酸存在下で反応させ,反応液のDNPHのTLCからαKGの存在を認めた.
    以上の事実から,供試菌株ではレブリン酸の代謝はMEKやピルビン酸を通らずにαKGを生成することが示唆された.
    (5) レブリン酸酸化能は誘導的であり,レブリン酸, 2-ペンタノンおよびMEKで誘導されたが,これらのメチルケトン類自身は代謝されなかった.
  • 豊田 正武, 山内 邦男, 津郷 友吉
    1970 年 44 巻 10 号 p. 484-487
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    牛,人,やぎ,豚,ラマおよびばくの初乳または常乳についてガスクロマトグラフ法により脂肪酸組成を求め,泌乳期による組成の変化,牛乳との違いに関して比較した.また採乳した試料についての一般組成の値も記載した.
    豚と人の乳の脂肪酸はC4:0, C6:0, C8:0の脂肪酸をほとんど含まない点で類似していた.牛とやぎの乳の脂肪酸は低級脂肪酸を含むこと,およびC18:2の肪脂酸含量が類似していた.牛と人の場合,初乳から常乳になるとC10:0, C12:0, C14:0の脂肪酸が増加し, C16:0, C18:1, C18:2の脂肪酸が減少した.豚の常乳でもC18:2は減少した.ばく乳の脂肪酸は他と非常に相違し, C10:0, C12:0の脂肪酸含量の多いことが認められた.
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