航空機騒音のアノイヤンスの構造をパス解析によって検討した研究はS. M. Taylor(1984)のもの以外には見当たらない。そこで本報では, 成田空港周辺で行われた住民アンケート調査結果(1989)を用い, 騒音のアノイヤンス(全体的迷惑感)を目的変数とし, 居住地の騒音量(WECPNL)を含む回答者の属性と生活妨害や情緒影響などを説明変数としたモデルを作り, パス解析によってアノイヤンスに対する各説明変数の効果を検討した。アノイヤンスに対する騒音量の効果は最も大きかったが, それは直接効果に加えて会話妨害, 情緒的影響などを介する間接効果が大きいためである。直接効果そのものは会話妨害, 情緒影響よりも小さい。そこで騒音によるアノイヤンスは, 騒音の直接影響に加えて具体的な個々の影響が総合された結果であると結論された。この結果は, S. M. Taylorの航空機騒音, K. Izumiらの道路騒音についての報告と一致した。
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