本研究では,22.2マルチチャネル音響をカーオーディオに適用することを想定し,室の形状による制約のためにスピーカを理想的な位置に設置できないことの影響を観測した。実験系として,乗用車の車室サイズの枠を設けて22個のスピーカを配置した。音源信号としては白色雑音と楽器演奏音を用い,包み込まれ感と定位感について,室の中心位置における評価値を基準とするME 法により評価を行った。その結果,聴取位置を「中心位置からスピーカまでの距離に対する比」として表現すると,球状にスピーカを配置した場合と同等な結果と見なせることが示された。また,音圧調整位置を運転席位置に変更したことによる影響は小さいことも示された。