位相変調を用いた新しい電子透かし手法を提案する。本手法の特徴は,静的な位相変調ではなく,縦やかな位相変化を搬送波とし,これに更に変調を加えることにより透かし情報を埋め込むことにある。聴取実験により,正弦波的位相変調の周期が10Hz程度以下であれば,人間には知覚されないことを示し,この聴覚特性を利用する。また,透かし情報の検出法として,原音信号との位相差をFFTを利用して直接求める方法と,位相変調に用いた全域通過フィルタをARMAモデル推定により推定し,その時間変化から位相変調の動特性を推定する方法を考案・評価した。その結果,FSKに基づいて埋め込まれた透かし情報が,確かに検出できることが示された。
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