二つの音源が存在するときの音源の運動知覚について検討した。一方の音源をターゲット音,もう一方の音源を非ターゲット音とした場合,二つの音源がともに運動するときは,非ターゲット音の存在にかかわらず,ターゲット音の運動方向を正確に判断できた。このことから,ターゲット音の運動判断は独立に可能であることが示された。しかし,ターゲット音が静止しているとターゲット音と非ターゲット音の提示順序に依存した方向にターゲット音を運動すると判断される傾向が見られた。ターゲット/非ターゲット音の運動条件によりターゲット音は,空間的・時間的に分散して存在する音事象全体のまとまりが良くなるような解釈を与える運動として知覚されると推察された。
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